回顧録 vol.7

Digital Release「Can I take you out?」

 

SoundCloudでしか聴けないミディアムテンポのダンスナンバー。

次の音源のコンセプトが明確にあったので唯一の未収録音源になりました。

 

ほとんどの場合レコーディングスタジオでエンジニアさん立ち会いの元、あーだこーだミックスのやり取りをするんですが、稲田さんからの提案もあり僕らの注文をメールで送り、仕上がった音源をデータで送ってもらうやり方を初めて試しました。

所謂オンラインミックスってやつでスタジオに行かなくても作業が進むので非常に便利です。

 

曲作りもスタジオで顔を合わせて作って、レコーディングも基本全パートメンバー立ち会いでやってたアナログバンドなんで、曲やミックスの良し悪し抜きにしてこの方法は僕らのやり方と合わなかったかなと…。

しかしながら実際顔合わせてやるのが1番しっくりくるし、血が通うというか所謂バンドって感じがやっぱり好きなんだなと痛感しました。

便利は便利なんですけどね。僕らにはいらないかなって。

ミックスは今聴くと斬新。

ライブではたしか下北沢251では演奏したような気がします。してないかも。

 

http://d.hatena.ne.jp/myde/touch/20140918/1411011906

https://m.soundcloud.com/mydecember12

 

 

2nd Album 「Adult」

 

初めてコンセプトを立てての作品。

ルーツである歌謡や民族音楽などを自分達なりに解釈し、収録曲は似たような楽曲にならない様にバランスよく作曲も行いました。

毎回レコーディングではやってなかったことを各々のパートでやってたんですが、今回はわかりやすく僕や牧野が作詞したり駒ちゃんと共作で作曲したりと、個人的に1番満足出来たアルバム。

普段出来上がった音源はあまり聴かないんですが珍しく聴いてます。

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多国籍なアルバムをコンセプトにしてたので なるべくイメージが付きにくいジャケットにしたいなと思ってました。

このジャケットは たまたま弟が結婚式で使う写真を家で一緒に探してたら出てきた1枚。

冷たく異質な感じと、どこの国かわからない様に見えるのがイメージとマッチしてたので、親に使わせて欲しいと聞いてみたら、どうやら右側真ん中の女性がオカンらしいです笑。

 

 

1. Messiah

牧野作曲のFコードオンリーで押し切るオープニングナンバー。

まさに1曲目という感じですね。

牧野からの注文でベースは「象の行進」ドラムは「動物の群れ」のイメージ。

スタジオでドラムとベースのフレーズを作りながら「まだ行進してない!」「草原が見えない!」と側からみたらよくわからないであろう牧野からのダメ出しがありました。レコーディングでは鬼軍曹と呼ばれてます。

昔からなんですが「ここを弾いて欲しい」より、風景などのイメージでフレーズを作ったりしてました。特にドラムは一旦イメージしてもらって音に当てはめてもらうことの方が多かったですね。ドレミが無いので難しいですが風景が浮かぶか浮かばないかのジャッジが多いです。

技術的に難しいことはしてませんが、同じコードが繰り返されてるので歌が無いと結構ややこしくなります。

ドラムのアプローチの仕方は村ちゃんの新境地じゃないでしょうか。

 

このメロディに日本詞だと白鶴 まるのテーマソングみたいやし、英詞やと譜割的にのっかりにくくて結構苦労してました。

結果、日本詞をローマ字に変換して並べ変えた駒田語が採用。たしかローマ字にしてズラしたとか言うてました。多分。

尺が長いのでライブでは頭のアカペラを無くしたり、長丁場のライブではフル尺でやったり割とライブによって変えてましたね。

 

タイトルは当時よく聴いていたD'angelo and The Vanguard のアルバムから拝借。

 

2. 海岸線

牧野の作曲センスが爆発した歌謡ナンバー。

構成などはほとんど牧野プロデュース。

たしかアルバムの中で初めの方に録音したと思います。

Aメロのジッポの音も相まってお酒のCM感が漂ってますよね。バーボンかな。呑んだことないけど。

枯れたギターソロがめちゃくちゃ良くてスタジオで興奮したのを覚えてます。

ベースは難しくないんですがAは裏メロを弾いてスライドやハンマリングしたり、同じEでもイントロと間奏は解放弦、サビは3弦7フレットを使ったりちょっと変えてます。

 

鍵盤ハーモニカを使ってるのでライブでも再現出来るように左手でベースをタッピングしながら右手で鍵盤押さえるスタイルでライブやったりしてたんですが、セッティングにめちゃくちゃ時間かかったりと自然と無くなりました。

最早1人チンドン屋状態。

 

歌詞は今作2曲書いてその内の1曲。

だいたいはスタジオ帰りの運転中に楽器とメロディーだけ録音した音源を聴きながら言葉を当てはめていき「ここは伸ばすから母音を変えたい」など、歌う人でしかわからないことがあるので こまちゃんと色々修正しながら完成。

唯一Bメロだけハミングでやりたいと牧野からの注文であそこだけ斬新なハミングオンリーになってます。

ストーリーを頭の中で描くと書きやすくサビが出来たらスラスラと書けました。

 

タイトルは歌詞からなんとなく。

 

3. スカーレット

こちらも牧野作曲&プロデュースの楽曲。

今までに無かった明るめのロックナンバー。

「血を吸う宇宙」も結構なPOPやと思ってたんですがこれはまた違う角度からきたPOPですね。

こまちゃんが「健やか健康ロックやわ」と言ってました笑。

稲田さんからの案でドラムの録音時にマイクを違う箇所にも置いて録音。

スネアがすごい鳴りしてます。

音源のサビのギターはミステイクなんですが非常に良かったので採用。ベースも走ってますね。たまにあるんですよ、ミスしたけどこっちの方がいいやん!てやつが笑。

歌詞の数字は何を表してるんでしょうかね。

 

タイトルは「健やか健康ロック」の頭文字をとって「SKR」から変換して「スカーレット」に。

 

4. La morte ti fa bella

牧野作詞&作曲のインド歌謡ナンバー。

多国籍アルバムのコンセプトを追求するにあたって、みんなで世界各国の音楽を参考がてら聴いたりしてたんですが、どうやらフレーズやコードよりも「音色」が大事なんだと気付きました。

イントロや間奏のギターで使ってるシタールの音色はエレハモのエフェクターでこの曲はこれが無かったら出来てなかった(値段高かったらしい)。

最初は本物のシタールで録音しようと思って調べてたら、シタールは昼と夜 使っていい音階が決まってるらしく断念。宗教上の理由か何やら決まりがあるみたいです。

サイドギターのカッティングやフレーズを少し遅らせたり難しそうですね。

イントロのボンゴは村ちゃんの演奏。

ベースはイントロのフレーズ、サビの高音の部分は牧野指定。

村ちゃんと後ろノリにするかどうか色々試した結果、ジャストが1番気持ちいいんじゃないかと。

あとのフレーズは自分で考えたんですがめちゃくちゃ動いてちょっと忙し過ぎたかな。

ライブでは後半アレンジとBPMは変えて演奏してました。やっぱりライブと音源は別物ですね。

 

歌詞の意味など聞いてないんでこの曲の意味については牧野に会ったら直接聞いてください笑。すごい頑張ったらしいので笑。

 

タイトルはロバート・ゼメキス監督「永遠に美しく…」から拝借。

 

5.  サヨナラは二度、ベルを鳴らす

作詞が僕で作曲は駒ちゃんとの共作。

元々作る目的がB面というかアルバムの為の1曲として作ったのでライブでは1度も披露せず。

大まかな構成とコード進行と歌詞は僕が、メロディを駒ちゃんに作ってもらいました。

煮詰まったりもなくサクっと出来たと思います。

参考にしたのは311の「Love Song」という曲。

もうちょいダブっぽくしたかったかな。

 

歌詞を書くにあたって2つ気をつけてた事があって、1つ目は「答え」を出さないこと。

ある程度のストーリーは書いて、聴いた人が想像し色んな「答え」があるようにしたかった。

2つ目は2曲書くことが決まってたので2部作にしたかった。

先に「海岸線」が出来上がっていたのでこの曲はその前日譚になってます。

収録順は逆になってますが、歌詞の内容はこの曲からはじまり「海岸線」に繋がるという感じです。

僕含め、駒ちゃんも歌詞に対して誰かや世の中に訴えかけるような歌詞を書かない事が共通してあると思います。

牧野が作った楽曲やメロディに対しスパイス、色付け、華を添える感じに近いんじゃないでしょうか。

悪く言えばオナニーですが、これが表現者としてあるべき姿なのかもしれません。そこに共感を覚えてくださる方々がいて楽曲が完成されるのではないかと。

 

タイトルはジェームズ・M・ケインの小説「郵便配達員は2度ベルを鳴らす」から拝借。

 

6. 私

アルバムの中で1番最後に録音した牧野作曲、駒ちゃん作詞のメタル歌謡ナンバー。

締め切りギリギリには ほぼ完成してて、アウトロのギターソロは牧野の頭の中では出来上がってたみたいなんですがレコーディング前の最後のスタジオでは間に合わずそのままレコーディングに突入。

完成したソロを聴いたのはレコーディング当日、いきなりのメタルフレーズ+ツインギターで全員爆笑。あれは1番破壊力あったギターソロでしたね笑。

この頃もう1つバンドを掛け持ちしてて、2回目のAメロのベースフレーズはそっちのバンドで学んだ事をこっちでもやってみたら上手くハマりました。

もう1つのバンドではコードやらスケールやら色々学べて、さすがに忙しかったけどMy Decemberにフィードバック出来て結果良かったと思います。

ライブでは1番Aメロのベースフレーズを変えてたのと、1回だけ2番Aメロを「異邦人」のカバーにしたことも。

サポートギターを迎えてアウトロのギターソロを再現したりもしましたね。

 

この曲の歌詞がすごい好きで「僅かに残していた 隙間で息をするようで」の部分が特に良く、駒ちゃんのパーソナルな部分がやっと出たなと。

 

タイトルは録音時に歌詞を見てこれしかないと直ぐ決めました。

 

7. Lovers

おそらく1番最初に録音した楽曲やと思います。

サビのコーラスは駒ちゃん10人分。

冬の幼馴染2人が散歩してるイメージ。

リズムのアプローチで参考にしたのはDragon Ash「See you in a Flash」。

The Usedの曲で「フェードアウトする聴こえるか聴こえない部分のドラム回しが良いよね」という話から、アウトロのドラムはフェードアウトしたぐらいから色々パターン変えてます。

 

「また1つ、また1つ」のベースラインは未だに気に入ってますね。

再現するのにこだわってライブではPangeaで1回やったっきりやってないかな…。

 

タイトルは歌詞からなんとなく。

 

 

以上2作品の解説でした。

やっと自分達でやりたい方向性が見つかった感じがしたアルバム。満足というか達成感がありました。

レコーディングする前に予算やトレーラーなど計画してやってたので余計にそう感じたかもわかりません。

反対に「次の作品はもっと良い曲を作らないとダメだ」というプレッシャーは勝手にかかりました。まさかそれが最後の作品になるとは思ってませんでしたが。

 

この頃にはライブも選ぶようになりペースは落ちたんですが出たくないライブにはやっぱり出たくない。

偉そうに聞こえますが、お客さんからお金をいただいてる以上、エンターテイメントであり対バンやライブから何かしら感化されて帰ってほしい且つ自分達も楽しめないと意味がない。

もっと言うと、自分でバンドのギャラも提示してました。勿論最低限ですけど、僕らはボランティアでやってる訳じゃない。音楽で生活していきたいからこそ、すごく考えてた時期です。

めっちゃ断られたこともあります、高いと感じられたかも知れません。

イベントに誘っていただいて出演を快諾した以上、勿論良いライブをするのは最低限当たり前の話で プラスお客さんを呼ばないと主催者にもプラスにならない。毎回上手く行くわけでもなく、ギャラを返したりもしました。

4人中1人でも音楽で生活出来てないのがやっぱり悔しかった、今でもそう思う。

 

真面目かどうなのかわからないそういう考えが元で、どちらかと運営の方に頭がいってしまいスタジオで片付けた後に1人で考え込んだりしてました。

結果、毎回「やるしかないな」となるんですけど笑。

 

話が逸れましたが、個人的にこのアルバムを4人で作れたのは誇らしい。

この作品を作る為に集まったんじゃないかとも思いました。