回顧録 vol.7

Digital Release「Can I take you out?」

 

SoundCloudでしか聴けないミディアムテンポのダンスナンバー。

次の音源のコンセプトが明確にあったので唯一の未収録音源になりました。

 

ほとんどの場合レコーディングスタジオでエンジニアさん立ち会いの元、あーだこーだミックスのやり取りをするんですが、稲田さんからの提案もあり僕らの注文をメールで送り、仕上がった音源をデータで送ってもらうやり方を初めて試しました。

所謂オンラインミックスってやつでスタジオに行かなくても作業が進むので非常に便利です。

 

曲作りもスタジオで顔を合わせて作って、レコーディングも基本全パートメンバー立ち会いでやってたアナログバンドなんで、曲やミックスの良し悪し抜きにしてこの方法は僕らのやり方と合わなかったかなと…。

しかしながら実際顔合わせてやるのが1番しっくりくるし、血が通うというか所謂バンドって感じがやっぱり好きなんだなと痛感しました。

便利は便利なんですけどね。僕らにはいらないかなって。

ミックスは今聴くと斬新。

ライブではたしか下北沢251では演奏したような気がします。してないかも。

 

http://d.hatena.ne.jp/myde/touch/20140918/1411011906

https://m.soundcloud.com/mydecember12

 

 

2nd Album 「Adult」

 

初めてコンセプトを立てての作品。

ルーツである歌謡や民族音楽などを自分達なりに解釈し、収録曲は似たような楽曲にならない様にバランスよく作曲も行いました。

毎回レコーディングではやってなかったことを各々のパートでやってたんですが、今回はわかりやすく僕や牧野が作詞したり駒ちゃんと共作で作曲したりと、個人的に1番満足出来たアルバム。

普段出来上がった音源はあまり聴かないんですが珍しく聴いてます。

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多国籍なアルバムをコンセプトにしてたので なるべくイメージが付きにくいジャケットにしたいなと思ってました。

このジャケットは たまたま弟が結婚式で使う写真を家で一緒に探してたら出てきた1枚。

冷たく異質な感じと、どこの国かわからない様に見えるのがイメージとマッチしてたので、親に使わせて欲しいと聞いてみたら、どうやら右側真ん中の女性がオカンらしいです笑。

 

 

1. Messiah

牧野作曲のFコードオンリーで押し切るオープニングナンバー。

まさに1曲目という感じですね。

牧野からの注文でベースは「象の行進」ドラムは「動物の群れ」のイメージ。

スタジオでドラムとベースのフレーズを作りながら「まだ行進してない!」「草原が見えない!」と側からみたらよくわからないであろう牧野からのダメ出しがありました。レコーディングでは鬼軍曹と呼ばれてます。

昔からなんですが「ここを弾いて欲しい」より、風景などのイメージでフレーズを作ったりしてました。特にドラムは一旦イメージしてもらって音に当てはめてもらうことの方が多かったですね。ドレミが無いので難しいですが風景が浮かぶか浮かばないかのジャッジが多いです。

技術的に難しいことはしてませんが、同じコードが繰り返されてるので歌が無いと結構ややこしくなります。

ドラムのアプローチの仕方は村ちゃんの新境地じゃないでしょうか。

 

このメロディに日本詞だと白鶴 まるのテーマソングみたいやし、英詞やと譜割的にのっかりにくくて結構苦労してました。

結果、日本詞をローマ字に変換して並べ変えた駒田語が採用。たしかローマ字にしてズラしたとか言うてました。多分。

尺が長いのでライブでは頭のアカペラを無くしたり、長丁場のライブではフル尺でやったり割とライブによって変えてましたね。

 

タイトルは当時よく聴いていたD'angelo and The Vanguard のアルバムから拝借。

 

2. 海岸線

牧野の作曲センスが爆発した歌謡ナンバー。

構成などはほとんど牧野プロデュース。

たしかアルバムの中で初めの方に録音したと思います。

Aメロのジッポの音も相まってお酒のCM感が漂ってますよね。バーボンかな。呑んだことないけど。

枯れたギターソロがめちゃくちゃ良くてスタジオで興奮したのを覚えてます。

ベースは難しくないんですがAは裏メロを弾いてスライドやハンマリングしたり、同じEでもイントロと間奏は解放弦、サビは3弦7フレットを使ったりちょっと変えてます。

 

鍵盤ハーモニカを使ってるのでライブでも再現出来るように左手でベースをタッピングしながら右手で鍵盤押さえるスタイルでライブやったりしてたんですが、セッティングにめちゃくちゃ時間かかったりと自然と無くなりました。

最早1人チンドン屋状態。

 

歌詞は今作2曲書いてその内の1曲。

だいたいはスタジオ帰りの運転中に楽器とメロディーだけ録音した音源を聴きながら言葉を当てはめていき「ここは伸ばすから母音を変えたい」など、歌う人でしかわからないことがあるので こまちゃんと色々修正しながら完成。

唯一Bメロだけハミングでやりたいと牧野からの注文であそこだけ斬新なハミングオンリーになってます。

ストーリーを頭の中で描くと書きやすくサビが出来たらスラスラと書けました。

 

タイトルは歌詞からなんとなく。

 

3. スカーレット

こちらも牧野作曲&プロデュースの楽曲。

今までに無かった明るめのロックナンバー。

「血を吸う宇宙」も結構なPOPやと思ってたんですがこれはまた違う角度からきたPOPですね。

こまちゃんが「健やか健康ロックやわ」と言ってました笑。

稲田さんからの案でドラムの録音時にマイクを違う箇所にも置いて録音。

スネアがすごい鳴りしてます。

音源のサビのギターはミステイクなんですが非常に良かったので採用。ベースも走ってますね。たまにあるんですよ、ミスしたけどこっちの方がいいやん!てやつが笑。

歌詞の数字は何を表してるんでしょうかね。

 

タイトルは「健やか健康ロック」の頭文字をとって「SKR」から変換して「スカーレット」に。

 

4. La morte ti fa bella

牧野作詞&作曲のインド歌謡ナンバー。

多国籍アルバムのコンセプトを追求するにあたって、みんなで世界各国の音楽を参考がてら聴いたりしてたんですが、どうやらフレーズやコードよりも「音色」が大事なんだと気付きました。

イントロや間奏のギターで使ってるシタールの音色はエレハモのエフェクターでこの曲はこれが無かったら出来てなかった(値段高かったらしい)。

最初は本物のシタールで録音しようと思って調べてたら、シタールは昼と夜 使っていい音階が決まってるらしく断念。宗教上の理由か何やら決まりがあるみたいです。

サイドギターのカッティングやフレーズを少し遅らせたり難しそうですね。

イントロのボンゴは村ちゃんの演奏。

ベースはイントロのフレーズ、サビの高音の部分は牧野指定。

村ちゃんと後ろノリにするかどうか色々試した結果、ジャストが1番気持ちいいんじゃないかと。

あとのフレーズは自分で考えたんですがめちゃくちゃ動いてちょっと忙し過ぎたかな。

ライブでは後半アレンジとBPMは変えて演奏してました。やっぱりライブと音源は別物ですね。

 

歌詞の意味など聞いてないんでこの曲の意味については牧野に会ったら直接聞いてください笑。すごい頑張ったらしいので笑。

 

タイトルはロバート・ゼメキス監督「永遠に美しく…」から拝借。

 

5.  サヨナラは二度、ベルを鳴らす

作詞が僕で作曲は駒ちゃんとの共作。

元々作る目的がB面というかアルバムの為の1曲として作ったのでライブでは1度も披露せず。

大まかな構成とコード進行と歌詞は僕が、メロディを駒ちゃんに作ってもらいました。

煮詰まったりもなくサクっと出来たと思います。

参考にしたのは311の「Love Song」という曲。

もうちょいダブっぽくしたかったかな。

 

歌詞を書くにあたって2つ気をつけてた事があって、1つ目は「答え」を出さないこと。

ある程度のストーリーは書いて、聴いた人が想像し色んな「答え」があるようにしたかった。

2つ目は2曲書くことが決まってたので2部作にしたかった。

先に「海岸線」が出来上がっていたのでこの曲はその前日譚になってます。

収録順は逆になってますが、歌詞の内容はこの曲からはじまり「海岸線」に繋がるという感じです。

僕含め、駒ちゃんも歌詞に対して誰かや世の中に訴えかけるような歌詞を書かない事が共通してあると思います。

牧野が作った楽曲やメロディに対しスパイス、色付け、華を添える感じに近いんじゃないでしょうか。

悪く言えばオナニーですが、これが表現者としてあるべき姿なのかもしれません。そこに共感を覚えてくださる方々がいて楽曲が完成されるのではないかと。

 

タイトルはジェームズ・M・ケインの小説「郵便配達員は2度ベルを鳴らす」から拝借。

 

6. 私

アルバムの中で1番最後に録音した牧野作曲、駒ちゃん作詞のメタル歌謡ナンバー。

締め切りギリギリには ほぼ完成してて、アウトロのギターソロは牧野の頭の中では出来上がってたみたいなんですがレコーディング前の最後のスタジオでは間に合わずそのままレコーディングに突入。

完成したソロを聴いたのはレコーディング当日、いきなりのメタルフレーズ+ツインギターで全員爆笑。あれは1番破壊力あったギターソロでしたね笑。

この頃もう1つバンドを掛け持ちしてて、2回目のAメロのベースフレーズはそっちのバンドで学んだ事をこっちでもやってみたら上手くハマりました。

もう1つのバンドではコードやらスケールやら色々学べて、さすがに忙しかったけどMy Decemberにフィードバック出来て結果良かったと思います。

ライブでは1番Aメロのベースフレーズを変えてたのと、1回だけ2番Aメロを「異邦人」のカバーにしたことも。

サポートギターを迎えてアウトロのギターソロを再現したりもしましたね。

 

この曲の歌詞がすごい好きで「僅かに残していた 隙間で息をするようで」の部分が特に良く、駒ちゃんのパーソナルな部分がやっと出たなと。

 

タイトルは録音時に歌詞を見てこれしかないと直ぐ決めました。

 

7. Lovers

おそらく1番最初に録音した楽曲やと思います。

サビのコーラスは駒ちゃん10人分。

冬の幼馴染2人が散歩してるイメージ。

リズムのアプローチで参考にしたのはDragon Ash「See you in a Flash」。

The Usedの曲で「フェードアウトする聴こえるか聴こえない部分のドラム回しが良いよね」という話から、アウトロのドラムはフェードアウトしたぐらいから色々パターン変えてます。

 

「また1つ、また1つ」のベースラインは未だに気に入ってますね。

再現するのにこだわってライブではPangeaで1回やったっきりやってないかな…。

 

タイトルは歌詞からなんとなく。

 

 

以上2作品の解説でした。

やっと自分達でやりたい方向性が見つかった感じがしたアルバム。満足というか達成感がありました。

レコーディングする前に予算やトレーラーなど計画してやってたので余計にそう感じたかもわかりません。

反対に「次の作品はもっと良い曲を作らないとダメだ」というプレッシャーは勝手にかかりました。まさかそれが最後の作品になるとは思ってませんでしたが。

 

この頃にはライブも選ぶようになりペースは落ちたんですが出たくないライブにはやっぱり出たくない。

偉そうに聞こえますが、お客さんからお金をいただいてる以上、エンターテイメントであり対バンやライブから何かしら感化されて帰ってほしい且つ自分達も楽しめないと意味がない。

もっと言うと、自分でバンドのギャラも提示してました。勿論最低限ですけど、僕らはボランティアでやってる訳じゃない。音楽で生活していきたいからこそ、すごく考えてた時期です。

めっちゃ断られたこともあります、高いと感じられたかも知れません。

イベントに誘っていただいて出演を快諾した以上、勿論良いライブをするのは最低限当たり前の話で プラスお客さんを呼ばないと主催者にもプラスにならない。毎回上手く行くわけでもなく、ギャラを返したりもしました。

4人中1人でも音楽で生活出来てないのがやっぱり悔しかった、今でもそう思う。

 

真面目かどうなのかわからないそういう考えが元で、どちらかと運営の方に頭がいってしまいスタジオで片付けた後に1人で考え込んだりしてました。

結果、毎回「やるしかないな」となるんですけど笑。

 

話が逸れましたが、個人的にこのアルバムを4人で作れたのは誇らしい。

この作品を作る為に集まったんじゃないかとも思いました。

 

 

回顧録 vol.6

3rd Single 「ソラリス

 

コンスタントに県外へ行くようになり、今作に収録されている「todome」を100枚限定でナンバリングし無料配布(シングルとはアレンジとミックスが違うver.)。

その後マシリト印藤さんの提案で我々 My December / Jonathan Chop' 88 / アライ先輩 / ザ・キャメルズ の4バンド各1曲づつ集めたコンピ盤「Quadrophenia」にて「血を吸う宇宙」で参加。タワレコ 新宿店とヒルバレースタジオ限定で無料配布。このコンピ盤4曲のミックスは各バンドで、マスタリングはM4Ⅱの稲田さんにお願いしてジャケットは勿論僕のコラージュ。

 

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オルタナ歌謡爆弾という肩書きをいただきました。

 

詳しくは前のブログで。

http://d.hatena.ne.jp/myde/20140104/1388857162

 

コンセプトは立ててなかったが結果、今の自分達をぎゅっと凝縮した内容になった。

 

ジャケットは趣味のコラージュから1番気に入ってるやつを採用。

タイトルはアンドレイ・タルコフスキー監督の旧ソ連映画「惑星ソラリス」から拝借。

 

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1. 惑星

前半後半と拍子が分かれ、同じメロディは2度と出て来ないちょっと変わった楽曲。

よく考えたら所謂8ビート!みたいな曲が無かったので牧野が持ってきたフレーズに「わかりやすく作る」をモットーに掲げ サビからはじまるようにしたんですが…。

結果、後半が6/8拍子になりちょっと逸れました。

Bメロの演奏が難しく、楽器隊が上手くハマらないと こまちゃんが歌いにくそうでしたね。

音源ではそうでもないんですが、ライブでは急にはじまる感じがしてたのでイントロの尺を倍に。

 

タイトルは"惑星"繋がりで。

ウォン・カーウァイ監督の映画「恋する惑星」をその頃久しぶりに観てたのもあります。

 

2. ノスタルジック・ナイトクラブ

昔あった原曲をリアレンジ、Cメロを追加 更にライブでブラッシュアップさせた艶めかしい魅惑の楽曲。

恐らく「これぞ駒田節っ!」と皆んなが思い描く曲じゃないでしょうか。歳を重ね声質にも合った妖艶な感じが凄く出てます。

この頃には牧野のメロディの付け方、こまちゃんの限界のキー設定などを理解してたりと作曲スキルがアップしてます。

Cメロ前の限界に振り絞ったボーカルは鳥肌もんです。

Bメロのライドシンバルも凄く綺麗に録れてますね。

ベースラインも気に入ってて、BOA顔負けタイトなジーンズにねじ込むぐらいメンバーお気に入り楽曲ナンバー5です。

ライブではイントロを変更。

個人的なイメージとしては進駐軍みたいなのを想像してました。あとはキャバレー。

 

タイトルは… なんとなくぽいので笑。

 

3. todome

何キッカケかは覚えてないんですが、おそらく瞬殺で出来たと思います笑。

代表曲の1つでライブでは解散まで頻繁に演奏してましたね。

特に難しいことはしてないんですが、和メロで進んで間奏は拍子が変わりフラメンコのフレーズが入ってるのは自分達らしいかなと。

ファンダンゴソニックアタックブラスター(現 鶴ヶ屋)と2マンした時にカバーしてくれたんですが原曲崩しまくりで最早別な曲になってました笑。みんな元気にしてるかな〜。

ベースの変な弾き方はいつからやってたんやろ…。たまに「あれ練習してるんですか?」と聞かれたりしてましたけど、あんなん練習するわけないです笑。

 

タイトルは何かの本で読んだ「留め」仕止める「止め」のフレーズが気に入ったので。

 

4. 血を吸う宇宙

元は違うベースラインやったのを、ハネさせたベースラインにしたらみんなのイメージが膨らんで30分ぐらいで大体出来上がりました。

ベースは9mm parabellum bulletの「光の雨が降る夜に」のニュアンスを参考に。Cメロのタッタッタッタッという休符を入れたベースラインは気にいってて、音源ではサビのベースは和音で弾いてます。

ライブでは牧野がAメロ弾かないパターンあり。謎の休憩。というか、年々Aメロを弾かなくなっていってた気が…笑。

バンド史上1番POPで聴きやすい楽曲じゃないでしょうか。

ラストライブではセットリストから外れましたが、村ちゃんの要望で謎に最後のスタジオで演奏しました。

 

タイトルは佐々木浩久監督の発狂シリーズ 映画「血を吸う宇宙」から拝借。

 

 

 

「惑星」以外ほとんどのライブでどれかの楽曲を演奏してたのでみんな気に入ってる証拠だと思います。

収録楽曲のバランスも良く、物販で1、2を争うぐらい買っていただきました。

音色や奏法など各々この時期ぐらいからやっと自分達らしさが確立されていったんじゃないでしょうか。

ベースの機材は前作から変わらずですがギターのエフェクターは稲田さんから借りたり増えてます。

回顧録 vol.5

2nd Single 「kiki」

 

今作は全作品の中でイレギュラーというか、転換期というべきか。

簡単に言うと「変化」を求めてた。

自分でやってたジャケット、レコーディング&サウンドエンジニアなどの環境を変えた唯一の作品。

なので唯一 音が違う感じになってます。

特にドラム。「レコーディングはドラムで決まる」と思い知らされました。

 

先ずはジャケット。

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この頃はよくdigme outというカフェに行っててそこで紹介してもらったWalnut氏にジャケットを依頼。Walnut氏はその後サマソニの物販やマルジェラのデザインで羽ばたいていきました。Beck / Guerroや手書きのラフな感じでって話をしてて、自分ではやらないバンド名とタイトルを前面に出してもらった。

 

 

レコーディング&サウンドエンジニアとミックスは8otto Dr./Vo. マエノソノさん(以下マエソンさん)。

新神楽のライブで8otto Ba. トラさんのお父さんと知り合ってイベントオファーがあり(お父さんがイベントする斬新さ)そのイベントのPAをマエソンさんが担当してたのがキッカケ。

当時、と言うかバンドはじめた初期から8ottoの事は知ってて(ライブもガンガン行ってたし)まさか関わってもらえるとは思ってなかったのでリハから鬼緊張。

 

うちのメンバーにも8ottoの話しはもちろんしてたけど、顔までは知らなくて「かじくん、リハからめっちゃ緊張してるけど」って言うてきた牧野がタバコをふかしドカッと座ってるソファの後ろに8ottoのポスターが。

「後ろ見ろ!」と指指したら「早く言うてや!」と若干怒られた。

その日の打ち上げでも緊張で全然喋れなくて… メンバーはガンガン喋ってたけど笑。

無知って凄いなと思った…。

そんな機会もあってか、偶然同じスタジオを使う様になり最近録音やりはじめたから一緒にやろうと話してくれて録音をお願いしました。

 

 

楽器録音場所は2つ。

メインの「kiki」は自然の鳴りや空気感が欲しくて天井の高いclub vijon、残り2曲は普段使ってたstudio do-doにて録音。

ボーカル録音とマスタリングは稲田さん立会いの元、M4IIスタジオ。

ミックスに関してはちょうどその頃にマエソンさんが別のバンド Muddy Apesをやりはじめてレコーディングの為に渡米したりでPCでやってくれてました。

この頃辺りからこまちゃんがボイトレに行ったり、村ちゃんがドラムレッスン受けに行った時期やったかな。

メンバー4人とも独学で、特にボーカルは出し方でどんどん変わっていきました。

 

 

1. 発狂する唇

バラードを作ろうと意気込んでスタジオに入ったんですが…。

イントロ〜Aメロまでのリフは僕が。サビのコードとメロディは牧野。A、Bのメロディはこまちゃん。と、少しややこしい作曲方法なんですがうちでは割とあります笑。

2回目のサビ前ブレイクが半拍になっててライブでたまにズレたりしてました。すみません、練習します…。

基本は8/8拍子。間奏の途中、ギターだけ6/8になり不協和音スレッスレのサイケデリックな曲に仕上がりました。あいつ毎回よく弾けるなと感心してます。気を抜くとつられてわけわからんくなるので僕も村ちゃんも間奏のギターは聴かないことにしてました笑。

タイトルは佐々木浩久監督の発狂シリーズ 映画「発狂する唇」から拝借。

 

2. スロバキアより愛を込めて

出来た時に皆が「これこそB面に入るべき曲」と生まれた瞬間 勝手に運命づけられたナンバー。

ハネたリズムから一転しBメロ、ラストのサビと表情豊かなんですが何回聴いてもやはりB面。

タイトルは映画「ルパン3世 ロシアより愛をこめて」をもじって。

因みにスロバキアには行ったこともないし、メンバー4人そのような家系は見あたりません。

 

3. kiki

牧野が作曲のタイトルナンバー。

今までだいたい2〜4コードだったのが、倍の8コードぐらいに増えて覚えるのにちょっと苦労しました。慣れや慣習の恐ろしさ。

メジャーコード + 牧野のピッキングや自然のリバーブ具合と歌詞が相まって慈愛に満ちた曲に。この曲を歌ってる時のこまちゃんは全ての罪を受け止め母なる大地で包み込む…そう、マリアです。

ライブでは鉄琴を奏でてからベースを弾き、大サビではドラムペダルにタンバリンを付け踏みまくる 最早1人チンドン屋状態の時もありました。

因みにこの曲でMVを作ろうとしてたんですが頓挫。

タイトルは映画「魔女の宅急便」から。

因みにこの時までずっと黒猫ジジをキキやと勘違いしてました。

 

 

 

余談として、マエソンさんのもう1つのバンド Muddy ApesのメンバーにLUNA SEAのGt. INORANさんがいて、レコーディングで渡米してる間「kiki」のミックスしてた時にINORANさんが「良い曲」だと褒めてくれたみたいです。

マリアはこまちゃんじゃなく、INORANさんでしたね。

トラさんがPangeaで働いてたこともあり、Pangeaでライブやりはじめたのもこの頃ですかね。マエソンさん、トラさんにはお世話になりっぱなしです。

 

使用機材は変わりなく、ベース本体が解散まで使うことになるEl・Mayaに変わりました。

回顧録 vol.4

1st DVD「fix」

 

1曲15分、プログレよろしく異色作。

1stと言いながら最初で最後のDVD。

自分達の曲を並べてみたら尺が長いのに気づき、それならとことん長くやってみようと試みた実験的作品。

音楽だけだと長く感じてしまうからショートフィルムみたいに映像と一緒に発表しました。

会場限定100枚で販売。

 

ジャケットはこれ。

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趣味のコラージュ。気に入ってます。

前作と同じように自分用の製品版は見つかりませんでした笑。

 

 

曲に関してはプログレと言うよりかは、交響曲に近い感じで作りました。

大まかに3つのパートに分けての作曲と練習。

この後ツアーに出るんですが、ライブでやることなんか考えてなかった笑。

レコーディングも3パートにわけて録音。

鍵の音や色々こだわりました。1曲やのに結構お金かかった…。

ドラムがズレてるというか気になる箇所があって、村ちゃん以外の3人は採用を反対したんですが「敢えてこうしてるんだ」と本人は譲りませんでした笑。

 

 

映像はプロットを作ってから撮影。

外の撮影は寒くて、電気がない場所なので照明用に発電機を借りてやってました。演奏シーンのロケ場所は式場などで使われてる所で(グランドピアノとかもあった)直接アポをとって自分達の作品作りの熱意を伝え撮影を快諾していただきました。

後日HPでも宣伝してくれて感謝。

 

初めて行った宮崎でのライブでバンドはうちら入れて2バンド、お客さん3人だったり鳥取でもツーマンで長テーブルにうちらの物販だけ、とか色々ありましたね。

ツアーファイナルのセットリストは「fix」の頭のパート部分を切り取り1曲目にして、ラスト前の曲から「fix」のラストパートを繋げて演奏。ファイナル意外のツアー箇所では一切演奏してなかったと思います笑。

一体何を考えていたのでしょうか笑。

 

以上「fix」の解説でした。

 

 

この頃までベースはバッカスのメイプルを使用。アンプはGallien-Krueger 800RB、足元はBossのチューナーとSansAmp Bass Driverを歪みとして使用。

竿以外ほぼ当時のLOSTAGE 五味兄さんと同じ機材というマニアっぷり笑。

 

喧嘩も多かったし、1番お金無かった気がする…。

今は無いと思うんですが、当時ツアーには炊飯器持って行ってて会場に着いたら先ずご飯を炊く作業をやってました(余ったご飯は駒ちゃんがオニギリにしてくれるサービスあり)笑。

回顧録 vol.3

1st Single 「yume or utsutsu」

3曲入りのシングル。

ヘヴィな部分も残しつつ、前作から変わって歌謡曲や6/8拍子のアプローチなど、今思うと後の2nd Albumの布石かの如く曲が配分された1枚だと思います。

僕この音源持ってないんですよね…。

 

1. 夢か現

2分強をテンションマックスで駆け抜けるナンバー。作ろうと言って30分ぐらいでだいたい全部出来上がりました笑。

牧野がギターフレーズとボーカルとベースをユニゾンしたいとゴリ押してきたのは覚えてます。

ベースぐらいドシっと構えてルート弾いた方がいいんじゃない?と反対したんですが、今となってはこれで良かったなと。

こまちゃんとの声とも合って、良い曲です。

ベーシックのレコーディングは荒さやノリが欲しくてドラムベースギター全部一緒に録音。間奏の叫んでるとこも1発録音です。

余談として、十三ファンダンゴのライブでこの曲を演奏してた時にベースが鳴らなくなって(あとでわかったんですがアンプの電源コードが抜けてました)、ベースを捨ててタンバリンを叩き狂ったこともあります。鳴らないベースなんかただの重い木なんで投げ捨てました笑

この曲で初めてPV作ったんですが、カメラが1台しかなくて… アングル変えたいから50回フルテンションで演奏してめちゃくちゃ疲れましたね。

タイトルは漫画「ベルセルク」の中のフレーズから。

 

2. 嘘には口づけ

みんなのルーツにもなってる歌謡曲ナンバー。

サビのランニングベースは気に入ってます。

ライブで1度だけ こまちゃんがギターボーカルをやったこともありました。ちょっと尺長いかな〜。

タイトルはなんとなく歌謡曲っぽいなと思ってつけました。

 

3. アラスカ

My December結成前に牧野とやってたバンドの時に作った曲で、Demoには「I'll comeback for you」というタイトルで収録してました。

サビ以外のアレンジとタイトルを変えて今作に収録。

さらに年数を経てLive ver.アレンジとして「Alaska」に変化。なのでこの曲だけ実質3パターンあります。

2番のBメロが半分になってるのが効いてますね。

イントロの風の音はレコーディングスタジオに常設してた扇風機です。

 

 

以上1st Singleの解説でした。

聴き返そうにも音源持ってないんで覚えてる感じで書きました。

この頃あたりから自分達がいる場所というかライブをすることの意味とか考えはじめて、ホームという場所を作らなくなりました。当然知らないバンドと一緒にやることも増え、ツアーもめちゃくちゃ行った気がします。

 

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この頃のアー写、恥ずかしいぐらいカッコつけてますね…。当たり前にみんな若いし髪の毛長い。

 

 

回顧録 vol.2

1st Album 「showcase」

 

かなり病んでるジャケット笑。

筆じゃなくて絵の具を指につけて描いてます。

 

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何なんでしょうかこれは。何故これにしたのかはよく覚えてません笑。でも収録曲とジャケットが割とマッチしてるんじゃないでしょうか。

 

余談として、この頃からジャケットやバンド周りの色々を自分でやるようになりました。やりたがりなんですよね。一応メンバーにも意見を聞いたりしてましたが最終的には出来上がりを見せて有無を言わせないようにしてました笑。

表現することに溢れてたんでしょうきっと。

 

アルバムタイトルは当時よく一緒にライブをやっていた「イモン」というバンドのGt. ケーマくんに「お前らライブっていうか、ショーケース観てるみたいやわ」って言われたのがキッカケ。

 

 

「showcase」

1. eadGBE

ギターのフィードバックから次の曲へと繋がるイントロ。

靴音とドアの音はレコーディングスタジオの廊下で録音。たしか牧野のブーツやったような。

ギターのフィードバックがフェードインして次の曲へと繋がります。

タイトルはギターのレギュラーチューニング。

何故わざわざ大文字小文字に分けたのは覚えてません笑。

 

2. Les Enfants Terrible

あんまりライブでやってなかった気がします。

村ちゃんらしいドラミング、ハイハットが綺麗ですね。スネアの抜けがすごい。

Bメロがハミングという斬新さ笑。

タイトルはジャン・コクトーの小説から。

読み方は「レス アンファンツ テリブル」。

通称「ゾンビ」。

鹿児島でライブをやった時に、このタイトルの曲が気になって観に来てくれた外国の方がいました。

 

3. LIBIDO

当時バラードが無かったのでバラードを作ろうとスタジオに入った結果、この曲が出来ました笑。

ベースは指弾き、スラップもやってましたね。

シャウトは僕です。

ギターのフィードバックから裏拍でイントロが入ってくるのはTHE RUSMAS「In the Shadow」、2番AメロのギターはRADIOHEAD「Creep」のオマージュ。

 

4. サカナ13

村ちゃん曰く、僕がイントロのベースを持ってきてすぐに形になった曲らしいです。多分そんな手直し無しに勢いで録音したんでしょう。

読み方は「サカナサーティーン」。通称「サカナ」

オイルサーディン」みたいな感じで読んでください。

ベースの休符をもっと気にしろよと当時の自分に言いたい。

 

5. 真理の箱舟(信仰mix)

THE USED「Buried Myself Alive」みたいな曲を作ろうと牧野が意気込んで作ってた記憶があります。当時結構気に入っててアルバム発売前にこの曲を枚数限定で無料配布してました。アルバムに入ってるのはmix違いです。

メロはL'Arc〜en〜Cielでオケは洋楽スクリーモ寄りの個人的に初期曲の中でメンバーの個性、やりたかった事のバランスが上手く反映させれた曲だと思います。

途中、ライドシンバルだけになってからギターアルペジオが加わりシャウトするアレンジはTHE USED「Say Days Ago」、Finch「What It Is to Burn」のオマージュ。

タイトルは映画「Distance」劇中に出てくる新興宗教から。

 

6. again again again

どうやってできた曲か思い出せない…。

ライブではあんまりやってなくて、村ちゃんがアウトロでズレて3人がめちゃくちゃ怒った記憶あり。

今作では1番好きな曲。

タイトルは当初「again again」にしてたんですが、The Smashing Pumpkinsが「TONIGHT,TONIGHT」なら俺らは3回言ってやろうと。

そしたらBeat Crusadersが「TONIGHT,TONIGHT,TONIGHT」というシングルを発売しました笑。

 

7. サ&\%徒)=

デスボイス、シャウト満開のハードナンバー。この曲もどうやってできたか思い出せない…。

当時ライブでは頻繁にやってましたが、どんどん音楽性が変わりはじめいつのまにか封印。

読み方は「サディスト」。

タイトルの文字化けは椎名林檎「絶頂集」のオマージュ。

 

8. landscape

元々は違うメロディーでDemoに収録してたんですが、メロディーを大幅に変えて再録。

AメロのベースラインはBRAHMAN「Great Help」を、間奏のドラムはL'Arc〜en〜Ciel「flower」を参考にしてます。

ライブではイントロのアレンジを変えLive ver.として10年ぐらいずっと演奏してる唯一の楽曲。

 

 

 

以上1st Albumの解説でした。

久しぶりに聴き返してみたんですが、楽曲は重たいながらにサビはキャッチーに仕上げれてるんじゃないでしょうか。

しかしながら、解説しないとわからないオマージュ感がハンパない笑。

ほとんどの曲は演奏しなくなった為、ベースをどう弾いてたか思い出せない部分もありますがやはり少し演奏のヨレたとこや音色の使い方などまだまだなとこがありますね。

こまちゃんのボーカルの声量や巧さで助けられてるというか、まだ楽器隊がガッツリ固まってないというか。

 

この作品からほとんどの楽曲を同じレコーディングスタジオ、エンジニアの稲田さんに録音してもらってます。

誰の紹介でも無く、飛び込みで行ったのでまだ稲田さんも手探りだったんじゃないでしょうか。

 

この頃はジャンルが固まったブッキングなどでライブをしてましたがどんどん知識も増えやりたい事の方向性など変わっていき、次の作品からシャウトや重たい感じが減りはじめ、幅広い音楽をインプットし自分達なりに咀嚼した作品になっていきます。

 

回顧録

作り手が作品を解説するのは野暮ってやつであまり好きではないんですが、色々考えてメンバーと作ってきたので出来るだけ届いて欲しいなと思うこともあり、作品解説というか振り返ってみようと思います。

これはもちろん主観なので、記憶違いや思い出せないことも多々あると思います。

その辺はご了承ください。

 

作品を解説する前に、先ずバンド名。

4人が集まって初めてライブすることになったんですが、ライブ数週間前にバンド名をつけてないことがわかり(バンド名つけるのをガチで忘れてました)候補を募る事に。

覚えてる限りの候補は以下。

銀河鉄道の昼

・My December

・Perfect Tail

・ゴッドホルス

 

もうMy Decemberしかないでしょ。

牧野が考えた銀河鉄道の昼じゃなくてよかった。マジで。

 

由来はもちろんメンバーも好きなLinkin Parkの曲名から拝借。確か1stの日本盤ボーナストラックに入ってたはず。あんな名曲が何故にボーナストラックなのかは謎。

 

それもあってか、1st Album「showcase」はエモーショナルな1枚に。

この頃はLinkin ParkThe UsedFinch、L'Arc〜en〜Ciel、DIR EN GREY、THE RUSMUSなど好んで聴いてた気がします。

意識はしてなかったけど、周りから言われてたのはゴシックロックに近い感じがあったみたいです(一時期これでみんなちょっと悩んだ)。

初期から4人とも共通してたのはメロディを重視した楽曲、儚ささを感じさせる楽曲を好んでたんじゃないかと今となっては思います。